過去の記事
以下は2000年ごろの記事になります。内容が古くなったものもありますので、今後順次更新していきます。
3)基準ピッチについて
私たちが楽器の選択をするときに、同じピッチで演奏できるかどうかは、良く鳴るかどうかより も大切なことです。
当然のことですが、ピッチが合わない楽器を持っていては、美しい演奏は望めません。そしてオ カリナは、「焼成」という過程で縮むことなどのために、他の管楽器ほどは、同時期の同一メーカーの同一モデルでもピッチの統一がなされていないと思います。中には「ピッチ管理」という意識が無いのでは?と思えるメーカーのものもあります。
ましてや違うメーカーのもの、同じモデルでも製作時期が大きく異なるもの、同じメーカーでも 違う機種、という条件、あるいは複合条件になると、「合うほうが不思議」とでもいうほど「やってみるまでわからない」状態であると思います。
ピッチを問題にする時には、「基準ピッチ」をどうするかという問題を解決しておかなければい けません。現在基準ピッチの選択肢としては、A=440HzまたはA=442Hz(Hzはヘルツと読みます)の2通りが考えられます。広く認められている国際標準ピッチは、A=440Hzですが今日、一般的なピアノの調律は、A=442Hzでされています。
また、オーケストラの演奏ピッチは、445(ヨンヨンゴ)以上ではないかと良く言われています。
オカリナ同士だけで演奏するならば、「基準ピッチをいくつにしなければ」という制約はありま せんが、伴奏してもらうときには、実用的な、基準ピッチを選択しておかなければいけません。また購入後に調律をするときの基準音がたやすく得られるものでないと厄介です。
私たちは、演奏をピアノで伴奏してもらう可能性がまずありませんので、A=440Hzを基本 にしています。また発足当時、手許にあった楽器の多くが、そのあたりで落ち着いていたということもあります。(個人的にはソロ演奏用楽器とのからみを考えるとちょっと低いかな?とは思っています。)
幸いなことにMidi関係の機材も初期設定は440でされていますので、(ということは、ほ とんどのカラオケCDはA=440Hzのはずです。念のため。)ピッチ合わせの基準に使う機器との親和性が良いようです。
ただしオカリナはその時の温度によって、ピッチが上下しますので、「室温が○○度の時」とい う条件が加わります。普段活動しているのは、普通に冷暖房をしている部屋ですので、20度以下の時は少ないと思います。国際標準に定められている「温度が摂氏20度で」という条件ならば、A=438Hzぐらいではあるかもしれません。私たちの考える「A=440Hz」とは普通に演奏(練習)活動をする条件下で、「A=440Hzの電子キーボードと音域の端から端まで、十分な音量と美しい音色で、完全なユニゾンを演奏できること」です。(私の場合、ソロ演奏用には、高め低め両方の楽器を用意しています。ポテトで使うのは低めのほうに入ります。)
楽器製作関連の方がもしこのページをご覧でしたらば、室温25度(冬なら暖めすぎ、夏なら冷 えすぎ)ぐらいで441~442の調律にしていただくとありがたいです。(もっと具体的には、Midiカラオケとピアノの両方と仲良く出来ること)ついでに言うと、ソプラノとテナーのD管、ソロ用途にはH(B)管が欲しいですね。
4)購入後の楽器の調律
購入後の楽器が(私たちの)基準ピッチからずれていたり、音程のバランス(基準ピッチに対す る一音ごとの高低)が、良くない時には、調律を施します。乱暴ですが、セロハンテープだけで済むこともありますし、エポキシ樹脂や、やすり、ドリルのお世話になることもあります。 買ってきたままで使っている楽器の方が少ないはずです。
音程は、腕前や演奏の仕方によっても大きく変化しますので(楽器の上下=水平方向?垂直方 向?の角度で、音程が変化する現象はご存知ですね?。)
「奏者のせいではない」時に限って有効です。
5)支えの工夫
楽器が滑ると上手に吹けないので、さまざまな手段で、滑り止めを施しています。具体例としては、
1)奏法上の支え指を工夫する。
2)滑り止めシートを貼り付ける。(ホームセンターなどで売ってる細かい網目状のもの)
3)滑りやすい塗装の時は、音孔周りの塗装をはがす。これにより皮膚と音孔周辺の密着度が増すこともあります。
6)低音楽器について
低音域の不足を補うために、市販されている凖最低音域の(伊)メナーリオ社製OBS-7Cを 使用していましたが、さまざまな試行錯誤の上に、少々の工夫をしました。
1)C管のはずですが、とてもピッチが低いので、B♭管として使います。
(ここのんには、よーあるこっちゃ!)
2)重くて支えるのが大変ですので、トーンホールを造り替えて、右手を逆手になるようにしました。
(ただし現在はポテトオリジナルの楽器を使用していますので、あまり出番がありません。)
ポテトオリジナルの低音楽器につきましては、いまのところ自分たちの使う分で手一杯ですが、
余裕が出来れば、小さな手でも演奏できる、バスFとバスC、コントラバスGを少し余分に作りたいと思っています。(あんまりあてにしやんといてなー)
7)結露対策について
寒い時期や、夏でも冷房が効いている時などに は、常に一定の演奏コンディションを保つために、演奏中の楽器の保温と結露対策をしっかりしておかないといけません。
保温の目的は、1)ピッチを保つため、2)結露を起こしにくくするため、の2点です。
保温の方法としては、1本だけなら手や懐で暖めると良いでしょう。私たちは複数の楽器を使用しますので、使い捨てのカイロを重宝しています。
結露は呼気中の水蒸気がウィンドウエイで冷やされて起こります。
結露を起こすとウィンドウエイに水滴が溜まり、気流が乱されて正しく発音しにくくなり、
1)ボリュームが下がる、2)ピッチが上昇する、3)ノイズが混ざる、4)音色が曇る、
5)高音部や低音部が発音しなくなる、 などのさまざまな障害をもたらします。
ときどき「この笛最近よく鳴りません」と言われて、見るものの多くがこれにあてはまっています。
結露を防止するには、
1)保温する、2)ウィンドウエイをきれいにしておく、3)結露予防液を使う
などの方法が有ります。 結露予防液とは簡単に言うと眼鏡に塗る石鹸水のようなものです。
界面活性効果のあるものを塗布することにより、水滴をはじいてしまいます。
私たちは眼鏡の曇り止め液を使っています。
(人体には無害ですが食べられませんと書いてあります。!??)
乾燥した清浄なウィンドウエイに少量を流し込み、もう一度乾燥してから演奏します。
(よって楽器を使わないときにしか出来ません。) 1度の処置で大分長い間効いています。
今までずっと結露した状態で演奏していた人には、違う楽器のように思えて違和感を覚えるかもしれませんね。自分の思っている笛のイメージと異なるようでしたら、洗剤で洗ってよくすすいで落とせばよいでしょう。(ただし洗剤にもしばらくは界面活性効果があります。)
8)ポテトおすすめの、練習お役立ちグッズ
オカリナを練習する人は次のようなものを使わ れると良いのではないかと思います。
1)譜面台
気合いを入れる意味からも必需品と思います。ただしあくまでも基本は練習グッズですので、すべて覚えてしまったら必要有りませんね。 譜面台の足はいっぱいに開いて、首は寝かせ気味がきれいですよ。本番でも使うときは聴衆から奏者をよく見てもらえる高さに調節。
2)筆記具
楽譜に要注意事項や打ち合わせて決めたこと(繰り返し、前奏や間奏などの有無など)を 記録します。記憶よりも記録! (新庄さんファンごめんなさい。)ちなみに昔はB~2Bの鉛筆が相場でした。今なら蛍光ペンが便利かも (コピーに写らないので白い楽譜が再現できる。)
3)メトロノーム
練習のあらゆる段階で、活用しましょう。 雰囲気は機械式が良いですが、実用面と正確さからは電子式が良いかも。カード型のは持ち運びには便利ですが、音が少し小さいと思います。笛と同じぐらいまで大きな音の出せるものが良いですね。(特にグループでは。)イヤホン出力をラジカセにつなぐという手も有ります。正確なテンポと正確な(美しい)イントネーション(演奏上の音程)で吹ければ一人前です。「機械は味気ない」というセリフは正確に吹ける人にのみ許されるべきでしょう。メトロノームと自分とが合っているかどうかも、慣れないうちは、なかなか分からないものです。
4)音程の基準となるなんらかの物
具体的には、小型電子キーボードや電子式チューナー、きちんとした調律笛、持ち運べませんが、正しく調律されたピアノやオルガンなどが候補です。伝統的には音叉(おんさ)などというものも有ります。ただしそれらをいつ、どう利用するかは、独習では少々辛い部分ですね。 そのうちがんばって書いてみます。
5)自分(達)の演奏を録音、再生する装置
いろいろな段階で自分の演奏を録音して吟味することは、とても良い指導者の役目を果たしてくれます。あまり快適な作業では有りませんが、出来ない所を見つけて改良することこそが練習の目的です。今ならやはりMDでしょうね。 大勢で聞くためには電池式などの小さなスピーカーが良いでしょう。ラジカセ外部入力につないだり、FMトランスミッター(カーステレオ用としても売られています。)も役に立ちます。(MDのヘッドホン出力をFM電波として発信、それをラジカセで受信して、聞きます。)意外なところでは、ビデオ入力つきのテレビにもつなげます。黄、赤、白の内、赤(音声右)、白(音声左)にMDのヘッドホン出力をつなぎましょう。(ステレオミニ⇔ピン端子の接続線が必要です。) また、この録音装置をレッスンのメモとして使うことはあまり良くはないと思います。自分を聞くために使いましょう。
6)(出来れば全身が映せる)鏡
姿勢のチェックに使います。手鏡では無理っぽいですね。
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